Monthly Archives: 12月 2016

2812月/16

空き家の町内会費

広島県内に空き家を持っている所有者が悩む問題の1つに「町内会費をどうするか」があるようです。地域によって、あるいは町内会の役員によって、空き家の所有者に町内会費の支払いを求めるかどうか、考え方が違うようですが、「払って」と求められた場合に悩んでしまうことがあります。

そこに住んでいればまだしも、誰も住んでいない空き家なのに、町内会費を払う必要があるのか、ということです。

結論から申しますと、払えるなら払うほうがいいでしょう。

人が住んでいない空き家であっても、空き家がそこに建っている限り、ご近所さんが気にするものだからです。不審者のたまり場になっていないか。不審火が出ないか。瓦が飛んでいないか。こんなことを見るとはなく見ているのがご近所さんで、それだけお手数をおかけしているわけです。

町内会費を収めておけばご近所さんにお任せしていいわけではありません。しかし、町内会費を払うことでその地域への感心を抱くことにつながりますし、責任を感じる動機になることもあるのではないでしょうか。

空き家がある地域に誰も住んでいないからという理由でお金を出さないドライさは、この日本では全く評価されません。町内会費はそれほど高くありません。気持ちよく支払いたいものです。

2612月/16

古い家屋は人気がない?

空き家になるのは家屋が古いからでしょうか。新しい家屋なら空き家にならないのでしょうか。

答えは「ノー」。古い家屋だから買い手や借り手がいないのではありません。それが証拠に京都を見てください。古い家屋を宿泊用に貸し出しているところがたくさんあります。外国人だけではなく日本人も泊まっています。古さはマイナス要因ではなく、“武器”になるのです。

試しに「古民家 宿」で検索してみてください。日本各地に古い家屋を生かした宿があることが分かります。このような傾向を知っていれば、広島で空き家になっている実家をどう活用するか考える際に「壊す」以外の選択肢があることが見えるはずです。

空き家でも壊したらおしまい、もう一度建てようとしたら大変な費用がかかります。だからこそ、今目の前にある空き家を活用する方法をまず考えるほうがいいのです。

かやぶき屋根の古い家屋、大歓迎。畑付きの古い家屋も大歓迎。囲炉裏のある古い家屋も大歓迎。交通不便な山奥の古い家屋も大歓迎。どれも“武器”になるのです。

広島市内の空き家なら「交通便利」が強みになりますし、呉市や廿日市市の空き家なら「田舎のロケーション」が強みになるのです。

実は空き家の所有者が強みに気づいていないことがけっこうあります。

2112月/16

賃料に含む必要諸経費

国土交通省は「不動産鑑定評価基準」で賃料に含む必要経費を具体的に挙げています。

・減価償却費

・維持管理費(修繕費など)

・租税公課(固定資産税など)

・損害保険料

・貸し倒れ準備金

・空き室などによる損失相当額

こうして見ると国土交通省は賃貸側の立場で細かく定めていることが分かります。

 

広島県内で増えている空き家を賃貸に出す場合、上記の必要経費を含めた賃料を算出する必要があります。賃貸に出したことがない場合はなおさらです。もちろん不動産屋さんが相談に乗ってくれるでしょうが、それでも「一体いくらで貸せばいいのだろうか」と適正賃料に戸惑っている場合、参考になるに違いありません。

もちろん空き家の所有者によって考え方はさまざまでしょう。「固定資産税分だけ収入を得ることができれば十分」という人もいるでしょうし、上乗せする人もいるでしょう。上乗せする場合は上記の必要経費が参考になるわけです。根拠が明確であれば、賃料に自信を持つことができます。

 

 

1912月/16

不動産の価格に関する諸原則その2

6つめは収益逓増および逓減の原則です。ちょっと難しいですね。国土交通省は「ある単位投資額を継続的に増加させると、これに伴って総収益は増加する。しかし、増加させる単位投資額に対応する収益は、ある点までは増加するが、その後は減少する」と説明しています。投資すればするほどリターンが右肩上がりで無制限に増えるものではないということです。

7つめが収益配分の原則。土地と資本、経営(組織)の各要素で生じる総収益を配分する際に資本と経営(組織)に正しく配分した残りは土地に与えられるという意味です。

8つめは寄与の原則。不動産のある部分が不動産全体の収益獲得に寄与する度合いは、その不動産全体の価格に影響するということです。

9つめは適合の原則。不動産の収益性や快適性が最高度に発揮されるためにはその不動産が環境に適合していることが求められるということです。

10が競争の原則。これは市場原理そのものですね。

そして最後が予測の原則。価格は将来性を踏まえて定まるということです。

いずれも当たり前といえば当たり前なのですが、明文化しておくことで例外が入り込むスキがなくなります。つまり公平性を保つことができるのです。

広島の空き家を売買したり賃貸借したりする際にこの11の原則は自然に適応されます。

1612月/16

不動産の価格に関する諸原則その1

国土交通省は現場での恣意や混乱を避けるために『不動産鑑定評価基準』で詳細を定めています。

不動産の価格に関する諸原則として国土交通省は11項目を挙げています。

まず需要と供給の原則。これは説明するまでもないでしょう。

2つ目は変動の原則。価格に影響を与える要因が変わると価格が変わるということです。

3つめは代替の原則です。代替性がある複数の財がある場合、その価格は相互に影響して決まるということです。これも当然と言えば当然でしょう。取り換え可能なのに1つは高価でもう1つは安価となれば変ですよね。

4つめは最有効使用の原則です。最有効使用というのは、その不動産の高揚が最高度に発揮される可能性が最も高い使われ方という意味です。つまり、例えば広島市の本通りに面していてすごく価値の高い土地なのにそこにボロボロの空き家が建っているからといってタダみたいな価格をつけるのは変ですよという趣旨です。

5つめは均衡の原則です。不動産の収益性や快適性が最高度に発揮されるためには、さまざまな要素が均衡でなければならないということです。何か1つの要素だけを特別に高く評価したり低く評価したりすると不動産の適切な評価ができません。したがってさまざまな要素のバランスを取って評価しなさいという意味です。恣意的な価格を防ぐための指示ですね。

1412月/16

不動産の価値の要因

不動産の価値はどう決まるのでしょうか。まず言えるのは需要と供給が交わるところで決まるということです。どんなに山奥の交通不便な場所にあっても、そこがほしいと思う人が複数いれば、オークションのように価格は上がります。だからといって価格がぐんぐん上がるかというとそんなことはありません。「これ以上はお金を払えない」や「これ以上お金を払う価値がない」と買い手が判断したとこころで価格は止まります。この価格が買い手にとって好ましい数字であれば売買は成立するでしょうし、買い手にとって好ましい数字ではない場合は不成立になるかもしれません。

このほか、国土交通省の『不動産鑑定評価基準』によると、価格形成要因として一般的要因と地域要因、個別的要因に分けることができるそうです。

一般的要因には、自然的要因と社会的要因、経済的要因、行政的要因があります。

地域要因は宅地地域(住宅地域と商業地域、工業地域)と農地地域、林地地域があります。

個別的要因は宅地(住宅地と商業地、工業地)と農地、林地、見込地および移行地があります。

それぞれ厳密な要件が定められ、恣意的な改変を防ぐことができるようになっているのです。不動産を鑑定する人によって鑑定評価がバラバラでは安定的な売買や貸借ができなくなるので、そうならないよう厳密な要件を国家が定めてあるのです。

1212月/16

『週刊現代』の大特集「老いる家 傾くマンション 崩れる街」

「老いる家 傾くマンション 崩れる家」――。空き家問題に取り組む広島県民の度肝を抜くような『週刊現代』12月24日号の見出しです。さらに「危ない街は」として具体的な市町村名を挙げています。そこには幸いにも広島県内の自治体の名前は出ていません。思わずホッとしてしまいました。

記事を読むと、相当深刻な状況であることが垣間見えます。第1部のタイトルはこうです。

あなたの家が「負動産」になる日

思わず引き込まれる上手なタイトルだと思いませんか。東京の23区内や千葉県、埼玉県、神奈川県も例外ではないというのです。

第2部はこんなタイトルです。

戦慄のルポ「限界マンション」ですでに起きていること

老朽化したマンションのワースト5に広島は入っていません。ああよかった!

詳細はぜひ『週刊現代』を読んでいただきたいと思いますが、記事を読む限りでは「これが万能解決策だ」というものは見当たりません。つまり問題提起の記事なのです。空き家問題が真剣に話されるようになってまだそれほど月日が経っていませんから、みんな「どうしよう?」と戸惑っている状況なのです。

広島県は世界遺産を抱えていますから外国人観光客が大勢来ますし、人口100万人規模の大都市である広島市は都会並みの大型店舗が集まっているなど、ほかの都道府県に比べると恵まれているのは間違いありません。

人が来るのですから、空き家の活用次第では需要が掘り起こせる可能性は高い。その第一歩として、まずは普段の維持管理(見守り)が基本であることを強調しておきたいと思います。

0912月/16

不動産の価値は誰がどう決める?

不動産の価値を決めるのは誰だかご存じですか。市場での基本は売り手(貸し手)と買い手(借り手)です。売り手(貸し手)と買い手(借り手)が合意できる金額や条件があればそれで決まります。

これとは別に客観的に不動産の価値を決める人がいます。不動産鑑定士です。不動産鑑定士が自由に決めていいかというとそうではありません。一定の基準に基づいて鑑定評価します。

国土交通省は不動産鑑定士向けに「不動産鑑定評価基準」を設けています。空き家もこの評価基準に基づいて判断されるわけです。

それによると、不動産の種別(宅地地域、農地地域、林地地域など)や土地の種別(宅地、農地、林地、見込地、移行地など)が定められています。まず大きな分類をするわけです。

不動産の類型はこんなふうに定められています。

【宅地】更地や建付地、借地権、底地、区分地上権など

【建物およびその敷地】自用の建物およびその敷地、貸家およびその敷地、借地権付き建物、区分所有建物およびその敷地など

特定の不動産に対して不動産鑑定士はこの大分類のどこに当てはまるかまず考えます。

広島県内をはじめ各地で増えている空き家ですが、空き家だから価値が低いということにはなりません。と同時に、これがややこしいというか結局市場に任せるしかないのですが、売り手(貸し手)と買い手(借り手)の合意が重要です。空き家の場合は売り手(貸し手)より買い手(借り手)の意向が重要ですから、買い手(借り手)がどんな不動産(空き家)を求めてるか、買い手(借り手)の立場に立ってみることが必要です。

0512月/16

「空き家を何とかしてほしい」と連絡を受けたら

広島県内でも増えている空き家問題、所有者にはこんなことが起きる可能性があります。空き家のご近所さんから「空き家を何とかしてほしい」と連絡が来るのです。

「何とかしてほしい」と言われる理由はさまざまです。庭の雑草からヤブ蚊が飛んでくる、台風で屋根瓦が飛んでご近所さんの建物に当たって破損させた、不審者がたむろしている、ぼやが起きた、などなど具体的な被害を突きつけられます。

具体的な被害が生じるまではご近所さんは黙って我慢しているのです。しかし被害が生じたら、それ以上黙っているわけにはいきません。すぐに善処してもらいたいと思うのが人情です。第2第3の被害が生じる前に、所有者はただちに駆けつけなければなりません。

空き家の場所が遠くなければいいのですが、片道何時間もかかる場所だったらひと苦労です。仕事の都合ですぐに駆けつけることができない場合、ご近所さんの厳しい目にさらされることもあるかもしれません。損害賠償を請求されたりすると話がややこしくなります。

こんなことにならないよう、ふだんから専門業者に空き家の維持管理(見守り)を任せ、何かあったら専門業者に駆けつけてもらえるようにしておくほうがいいのです。

みなさんは「空き家を何とかしてほしい」と言われたらすぐに応じることができる態勢にしていますか?

0512月/16

お試し住宅という空き家活用法

都会在住者の中で定年後の移住を考えている人は意外に多いものです。現役世代でも自分の生き方を見直して田舎暮らしをする人がいます。そんな人たちにとって、どこに移住するか、その地域が自分に合うか、気になるものです。

神石高原町のNPO法人が空き家を活用して「お試し住宅」を提供し、移住希望者が利用する計画が進行しています(12月4日付『中国新聞』)。一軒家でじっくり過ごすことによって住民の目線を持つことができるわけで、素晴らしいアイデアですね。

1週間でも2週間でも暮らしてみれば、自分が移住してきたらこんな生活になるんだろうなぁと手に取るように想像できるのは間違いありません。空気を感じ、暑さ寒さを感じ、風を感じ、土を感じ、人を感じ、こうした“事前学習”をすることで実際の移住がスムーズになるはずです。

広島県内で増えている空き家ですが、今回のようにお試し住宅として活用するなど、関係者が知恵を絞って活用法を考えています。今までは空き家が増える一方でしたが、それは「どう活用するか」を考える人が少なかったからでもあるでしょう。今では空き家問題が社会問題の1つになっていますから、「どう活用するか」を考える人が増えています。そんな中からきらりと光る活用法が見つかって、普及していく可能性があります。

空き家問題の解決はいよいよこれからが本番なのです。